ジャーマンカモミールの効果・効能と
おすすめの使い方
カモミールの精油は2種類あります。
今回は優れたスキンケア効果をもつジャーマンカモミールについて説明します。
こんな疑問にアロマセラピストが回答します
- ローマンカモミールとジャーマンカモミールの違い
- アズレン?カマズレン?
- アトピーにいいと聞いたけれど、どんな作用がある?
- カモミールを使ってはいけないケースは?注意すべきことを知りたい
[toc]
ジャーマンカモミールはキク科の1年草
ジャーマンカモミールは、草丈が60㎝ほどの高さまで育つキク科の一年草です。
成熟すると黄色の花芯が盛り上がり、白い花びらが反りかえるように見えることからrectita(反り返る)の種小名がつきました。
学名の「Matricaria」は子宮や母を意味するラテン語に由来。
実際に子宮にまつわる効能が多いことから、別名「お母さんのハーブ」とも呼ばれます。
ローマンカモミールと同じく、古くから薬草として用いられてきた歴史があります。
肌の炎症を抑える働きに優れ、髪を美しくすることから、化粧品やシャンプーの原料としても利用されてきました。
ジャーマンカモミールはハーブティーで、ローマンカモミールはアロマテラピーでよく使われます。
ジャーマンカモミールの花は、甘いリンゴのような香りを持ち、ハーブティーとして世界中で愛飲されています。
メモ
ローマンカモミール
- キク科の多年草で花、葉、茎全てが香る。
- 香りのよい芝生としても使われる。
- 主にアロマテラピーで使われる。
ジャーマンカモミール
- キク科の1年草で花だけが香る。
- 背が高くなり先端に花をつける。
- ハーブティーとしての活用が多い。
甘苦い干し草のようなジャーマンカモミールの香り
やや甘くスパイシーで、濃厚かつ芳醇な香りを持っています。
ローマンカモミールよりまろやかですが、独特な薬草のような香りをもっています。
抗炎症・抗アレルギー作用に優れたジャーマンカモミール
ジャーマンカモミールは、「アズレンブルー」と呼ばれる深い青から青緑色をした精油です。
この珍しい色は、含有する芳香成分のカマズレンによるもの。
カマズレンは強力な抗炎症作用、抗アレルギー効果に優れています。
ハーブティーは不安や緊張を和らげるためによく飲まれますが、精油は抗炎症作用や肌の細胞の生まれ変わりを促進する効果を期待して選択されます。
かゆみを鎮める作用もあるので、皮膚のかゆみや炎症などの症状によってストレスを感じるときのスキンケアに適しています。
ローマンカモミールがストレスケアに用いるなど心に作用する一方、カモミールジャーマンは体、特に肌への作用を目的に選ばれます。
しかしながら鎮静作用もあるため、リラックスしたい気分の時に少量用いるとストレスを和らげる効果も期待できます。
ほかに、肌荒れ、更年期障害、生理痛など女性の悩みにも役立ちます。
原料植物は世界各地に自生しますが、精油を得るには多量の原料が必要となるため大変貴重です。
香りも作用も強いので、少量(1~5ml)での購入がお勧めです。
原料植物名:ジャーマンカモミール
学名:Matricaria recutica(マトリカリア レクティタ)
科名:キク科
主な産地:イギリス、エジプト、ドイツ、ハンガリー、フランス、モロッコ
抽出部位:花
精油製造法:水蒸気蒸留法
色:濃紺
主な芳香成分:ビサボロールオキサイドA、ビサボレンオキサイド、ビサボロールオキサイドB,β-ファルネセン、カマズレン など
支配星:月
五行:肝
※オキシド類が高濃度で含まれる場合は刺激が強くなるため、小さいお子様への使用は不向きです。
本サイトでは通常、オキシドを注意を要する芳香成分グループに分類していませんが、ジャーマンカモミールには多く含まれ考慮する必要があることから「注意」に分類しました。
青い色の正体「カマズレン」がもつ抗ヒスタミン作用
カモミールジャーマンは成分中にアズレンの一種であるカマズレンを含むため、精油は濃い青い色をしています(アズレンブルー)。
カマズレンは植物体には存在せず、花にあるマトリシンという成分が、精油の蒸留過程(過熱など)により分解されることで生じます。
カマズレンは抗炎症、抗ヒスタミン作用に優れており、掻痒感、炎症を緩和し、傷つき荒れた皮膚を再生させる力を持っています。
ビサボロールにも抗炎症作用があります。
かゆみや炎症がひどい状態の皮膚にまず検討される精油です。
【心への作用】安らぎを与え眠りに誘う
興奮してなかなか眠りにつけないときに。
不安や緊張が続いていたり、怒りや恐怖といった抑えきれない感情が込み上げてきたとき、高ぶった神経を鎮め心を落ち着かせる作用があります。
普段は欲しない香りであっても心地よく感じられる時があります。
そういう時には体調にあっていると考えられるので、ぜひ使ってみましょう。
なお、香りが心地よく感じられない場合は、無理をせずブレンドで工夫するか、他の精油を検討されてもいいと思います。
適用:不安、緊張、不眠 など
利用方法:芳香浴法、トリートメント法 など
私はカモミールジャーマンの芳香蒸留水を化粧水に使うことがあります。
普段はさほど感じないのですが、肌荒れを起こしているときにはこの香りにほっと安らぎます。
ストレスケアに使えることにも納得。
なお、芳香蒸留水は精油とは少々異なり、カモミールティーに近い香りで青い色はありません。
穏やかな作用でお子様の肌にも使うことができます。
カモミールウォーターについて詳しくはこちらで解説しています。
-
フローラルウォーター(芳香蒸留水)の特徴と活用法
香りや作用が穏やかなフローラルウォーター ローズの精油が欲しくて店頭に行ったらローズウォーターっていうのが出てた ...
続きを見る
【体への作用】鎮痛作用や女性特有の不調の改善
鎮痛作用があるため、肩こりや腰痛など筋肉の痛みのほか、頭痛、神経痛、関節痛などの症状を緩和します。
粘膜を保護して胃壁を修復する作用や抗痙攣、消化促進作用があります。
また、月経周期を整える力があり、月経不順や月経痛など月経に関する不調の改善にも役立ちます。
適用:腹痛、消化不良、月経痛、月経不順、鼓腸(ガスでおなかが張る)、膀胱炎、喘息、緊張型頭痛 など
利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法 など
【肌への作用】ジャーマンカモミールの本領発揮!
ジャーマンカモミールは特に皮膚への効能を期待し選択されます。
ひどい炎症やかゆみに使われることが多いです。
抗炎症作用、抗ヒスタミン作用に優れるカマズレンという成分を含んでいるため、傷つき荒れた皮膚を再生する力があり、乾燥してかゆみがある肌のケア、ニキビケアなどに役立ちます。
日焼け後のほてりをケアするローションにもおすすめ。
手作りコスメやハーブパックとして取り入れるのもおすすめです。
ジャーマンカモミールの化粧水
【材料】
【作り方】
- ガラス容器に植物油、ジャーマンカモミールを加えよく振る。
- その他の材料を加えてさらに振る。
- 日付ラベルに作成日を書き貼ったら完成。
【Point】
冷蔵庫に保管し、2週間を目安に使い切るようにしましょう。
植物油は乾燥が気になるときにはマカデミアナッツオイル、炎症があるときはイブニングプリムローズオイル、ボリジオイルなどがおすすめです。
肌が刺激に弱くなっている場合は精製水にし、精油の滴数を減らしましょう。
肌荒れをケア レスキュージェル
【材料】
- ジェル基材・・・小さじ1
- ジャーマンカモミール・・・1滴
- ジェル容器
- 日付ラベル
- 攪拌棒(竹串やつまようじでも可能)
【作り方】
- 容器にジェル基材を入れる。
- ジャーマンカモミールを加え攪拌棒でよく混ぜる。
- 日付ラベルに作成日を書いて貼ったら出来上がり。
【Point】
水性基材のため、作成後は2週間を目安に使い切るようにしましょう。
(2週間以内に使い切る量を作成する)
フローラルウォーターにも穏やかな作用が期待できます。
適用:アロピー性皮膚炎、皮膚炎、敏感肌、固くなった皮膚、乾燥、湿疹、やけど など
利用方法:トリートメント法、手作りコスメ(クリーム、化粧水、パック) など
ジャーマンカモミールに期待できる薬理作用
駆風作用
健胃作用
抗アレルギー作用
抗ウィルス作用
抗鬱作用
抗炎症作用
抗菌作用
抗ヒスタミン作用
消化促進作用
胆汁分泌促進作用
鎮痙作用
鎮静作用
鎮掻痒作用
通経作用
瘢痕形成作用
他
精油の薬理作用については詳細はこちらをご参照ください。
-
-
【保存版】精油に期待できる薬理作用一覧
精油の薬理作用 芳香植物は、魅力的な香りで私たちをひきつけます。 各植物の個性の一つである精油は、植物がその種の生き残りをかけて作り出した物 ...
続きを見る
【ブレンドのコツ】ジャーマンカモミールは少量を
香りのタイプ:フローラル系
香りのノート:ミドル
香りの強さ:強
相性の良い精油:イランイラン、ゼラニウム、ベルガモット、スイートマジョラム、ラベンダー、レモン、ローズ、ジャスミン、ネロリ、パチュリ など
ジャーマンカモミールは独特で強い香りを持っています。
ブレンドする際は、ほかの香りと調和するよう少量を用いましょう。
ジャーマンカモミールの使用にあたり気をつけること
キク科、ブタクサアレルギーのある方は注意が必要です。
妊娠初期は使用を控えます。
人によっては稀に皮膚刺激を起こす可能性があります。
濃い色を持つため、衣服につけないよう気をつけましょう。
炎症のある部分には濃度を薄めにしましょう。
アロマテラピーを安全にご利用いただくため、こちらをあわせてご一読ください。
-
-
アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)
アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...
続きを見る
おわりに
ひどい肌荒れにこそ使いたい!ジャーマンカモミール
ジャーマンカモミールは、特に皮膚への効能を期待して選択されます。
精油に含まれるカマズレンには強力な抗炎症作用や抗ヒスタミン作用があり、かゆみや炎症などひどい肌荒れに役立ちます。
なお、キク科、ブタクサアレルギーのある方は注意が必要です。
化粧水などに入れる場合は希釈により柔らかい香りになりますが、 少々癖があります。
心配な方は、香りを試してから購入する方が安心です。
カモミールウォーターについてはこちらのページで解説しています。
-
-
フローラルウォーター(芳香蒸留水)の特徴と活用法
香りや作用が穏やかなフローラルウォーター ローズの精油が欲しくて店頭に行ったらローズウォーターっていうのが出てた ...
続きを見る