サイプレス(Cypress)の働きとおすすめの使い方
「リビングでのんびり過ごすのに最適な香りってどれ?」
「最近月のリズムが不規則。」
「足がむくんで太くみえちゃうのどうにかしたい!」
そんなさまざまな悩みにまとめて対応できる精油「サイプレス」があります。
今回はサイプレスがもつ働きや使い方、気になる疑問までしっかり解説します。
サイプレスを選ぶ時の目安がすっきりわかるはずです。
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サイプレスは「糸杉」
サイプレスの和名は「糸杉(いとすぎ)」または「イタリアイトスギ」といいます。
丈が高い円錐状の形をした木で、細長くまっすぐに伸びます。
ヨーロッパでは死の悲しみや恐れを乗り越える強さを与える神聖な木として、寺院や墓地の周辺によく植えられています。
また、南欧では庭園などの観賞用として親しまれるなど、地中海沿岸の国々にとっては庭園や寺院のシンボルのような木です。
キリストが磔(はりつけ)にされた十字架はサイプレスで作られていたという伝説から「死」と深い結びつきがあるとされています。
また、古代エジプトやローマでも神や死と密接な関係がある神聖な木として崇められていました。
学名の「sempervirens」は「永遠に生きる/永遠/常緑」という意味があります。
この言葉どおり、樹齢が1000年を超えることもあるほど、サイプレスは丈夫で腐敗しにくい木です。
また、耐火性もあることから、寺家の建築や船の建造に広く利用されています。
サイプレスはどんな香り?【香りのイメージ】
ウッディーで軽くスパイシー、クリアでしみとおるような清々しさ。
まるで陽の差し込む森林にいるような豊かな木の香りで、心と体、両方の疲れを癒してくれます。
ヒノキの近縁種で香りも似ていますが、サイプレスのほうがやや軽い印象。
実際に、ヒノキはベースノート、サイプレスはミドルノートに分類されます。
爽やかながら落ち着きのある香りで、男性用の香水にも利用されています
しかし、花の香りは男性には居心地が悪く、部屋の芳香浴には使いにくいことも・・・。
そういう時にサイプレスは重宝しますよ。
空気清浄の代表格・ティートリーとの違いは?
ほかの樹木系との香りの差は、まず香りの持続性で考えるとイメージしやすくなります。
トップノート:ティートリー
ミドルノート:サイプレス
ベースノート:サンダルウッド(白檀)
感染症対策の代表格・ティートリーは、フレッシュでスパイシーな軽さ、やや薬っぽいような鋭さがあります。
一方、サンダルウッドは樹木系の中でも甘さと落ち着きがあり、重厚感が感じられます。
クラシック/オリエンタルなイメージで、ヨガや瞑想を行うときや寝室に香らせるのもおすすめ。
そして、サイプレスはそのちょうど中間に位置するミドルノート。
清涼感と都会的な洗練が感じられ、モダン/ナチュラルな空間演出に向いています。
森林浴をしているような香りは人が集まるリビングやオフィスに最適です。
サイプレス精油の基本情報
サイプレスの精油は、葉と果実(球果)から水蒸気蒸留法で得られます。
球果(きゅうか)とは
裸子植物(特に松・杉など)の針葉樹がつくる果実。
多数の木質の鱗片(りんぺん)が重なって球形や円錐形をしています。
「松かさ」は松の球果です。
精油の作用は「ひきしめること」ととらえると覚えやすいです。
例えば、心に対しては、考えがまとまらないときや注意力が散漫になってしまうときに。
体に対しては過剰な体液を取り去るため、リンパの流れを促し、滞りをすっきり改善することが可能です。
原料植物名:サイプレス
科名:ヒノキ科(ヒノキ科イトスギ属)
学名:Cupressus sempervirens(クプレッスス センペルウィレンス)
産地:イタリア、インド、スペイン、ドイツ、フランス、モロッコ
抽出部位:枝葉と果実
精油製造法:水蒸気蒸留法
色:淡い黄色~無色
主な成分:リナロール、α‐ピネン、γ‐テルピネン、リモネン、酢酸ゲラニル、カンファー
利用方法:芳香浴法、沐浴法、吸入法、トリートメント法、アロマスプレー、手作りコスメ
支配星:土星
五行:肺
【心への作用】人生の転機を支える
心拍を鎮め呼吸を深くすることで、気持ちを引き締め冷静な判断を促します。
興奮や怒りが静まらずイライラするときに、穏やかに鎮静させ、気持ちを安定させる作用があります。
感情の起伏が激しいとき、冷静に受け止める平静さを取り戻すよう働きます。
極度の緊張・不安には、ローマンカモミールやラベンダー、プチグレン、フランキンセンスとのブレンドがおすすめです。
変化・決断の時期に恐れや喪失感をやわらげ、人生の自然な流れにのれるようサポートしてくれます。
この香りが気になるときは、意識や環境、人間関係に転機が訪れているのかもしれせん。
予想もしないことだったため不安や恐れから考えが散漫になりがちでしたが、サイプレスを使うとそれらが静まり、結果自分を見失うことなく乗り越えることができました。
「変容・変化」の時には、心に余裕をなくしてしまうこともありますよね。
そんな時には、サイプレスを芳香浴に加えてみてください。
もちろん、忙しく過ごす日常にもちいても心を楽に穏やかにしてくれますよ。
こんなときに:興奮、忍耐力の低下、記憶・集中力の低下、ショック、喪失感、うつ状態、ペットロス、更年期 など
【体への作用】引き締め+ホルモンバランス調整
さまざまなものの過剰、特に体液が過剰なところに作用します。
出血、浮腫(むくみ)、出血過多、鼻血、重い月経、発汗(特に足の発汗過多)に役立ちます。
血管を収縮させる力があり、静脈瘤にはまず第一に選ばれる精油です。
循環器系に対する強壮剤になり、熱が高すぎる箇所にも有効です。
肝臓を丈夫にする力もあります。
また、エストロゲン様作用があり、女性ホルモンの乱れによるさまざまな不調に対応。
気管支炎や喘息により生じる咳を軽くするのにも役立ちます。
副交感神経の働きを高めリラックスを促し、血液循環を良くして気力を充実させます。
こんなときに:月経痛、月経過多、月経前緊張症(PMS)、風邪、咳、気管支炎、膀胱炎、解毒(デトックス)、むくみ、ダイエット、女性ホルモンの調整作用(特に月経緊張症、更年期障害)、殺菌作用 など
【肌への作用】乾燥にも皮脂・汗の過剰にも使える
水分の過度の喪失を抑制するため乾燥肌や衰えが気になり始めた肌に有効です。
同時に、優れた収斂(しゅうれん)作用で、皮脂分泌が活発な脂性肌や汗をかきやすい肌のケアにも使えます。
デオドラント作用もあることから、入浴やアロマスプレーで取り入れてみましょう。
こんな時に:解毒(デトックス)、デオドラント、過度の発汗、毛穴の広がり、水分調節作用、皮脂分泌調整 など
喘息にいいって聞くけれど本当?
サイプレスに含まれるα‐ピネン、δ‐3‐カレンには呼吸器系の症状改善が期待でき、セロドールには咳を静める作用があります。
そのため、喘息の発作時にフランキンセンス、ローズマリー・シネオールとブレンドして使われるケースがあります。
ただ、精油はお薬ではないため、できることはあくまでセルフケア。
気になる症状がある場合は、まずは医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
なお、喘息はアレルゲンの有無だけではなく、ストレスに関係するともいわれています。
ストレスケアはアロマテラピーの得意とするところ。
自律神経系のバランスを整え、リラックスできる精油を日常生活に取り入れることはセルフケアになり、予防につながります。
呼吸器系の不調には、サイプレスのほかに、ジュニパーべリー、フランキンセンス、ローズマリー・シネオール、ユーカリ・ラディアータも適していますので、お好きな香りを選んでみてください。
上記の精油にイランイランやプチグレン、マンダリン、ローマンカモミールなどを組み合わせるといっそう安らぐ香りになりますよ。
「ほっとする」、「気持ちがよい」、「落ち着く」などなど、
その感覚は、香り刺激による脳内の神経伝達物質の放出でもたらされるもの。
緊張、ストレス、不安・・・「不快」と反対の「快」を意識的に増やして、バランスを取りましょう♪
ベルガモットのページで、香りの吸入によりストレスホルモンの低下が確認された実験例をご紹介しています。
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サイプレスは妊娠中に使えない?
サイプレスはエストロゲンの分泌を促進する働きがありますので、妊娠中の使用は控えましょう。
なお、香りを焚いて楽しむ方法(芳香浴法)は心身への作用が穏やかであり、妊娠中でも可能とされています。
実際、アロマテラピー検定を実施しているAEAJでは、紹介するアロマテラピーで妊婦に重大な事故が生じたことは報告されていないとのこと。
※下記リンク先の「注意すべき対象者‐妊娠中の場合」にその旨記載されています。
しかしながら、心配な場合や体に違和感を感じる場合は芳香浴であっても使用を控えましょう。
デリケートな時期、心にも体にも無理をさせないことは大切だと思います。
精油の性質と適切な使用方法を知って、生活に活かしていきましょう。
ペットの虫よけに使える?
サイプレスに関していえば、あまり防虫作用は期待できません。
「ジャパニーズサイプレス」とも呼ばれる近縁種のヒノキの精油は、防虫作用に優れています。
なお、犬や猫など、動物へのアロマテラピーの使用は勧められていません。
私は犬のいる部屋での芳香浴は念のため避けていました。
私自身にアロマトリートメントをしたあとは近寄ってこなかったような気もしますが、精油の香りを嫌ったためか、ただ単にいつもと違うにおいがするから警戒していたのかは判断がつかず仕舞いでした。
使用したい場合は、精油ならごく低濃度にする(0.1%)、ドライハーブを置いたりフローラルウォーターで様子を見ながら、がよいかもしれません。
獣医師に相談すると安心です。
なお、精油のリスクが高くなることから猫へは使用しないでください。
詳しくはこちらで触れていますのでご参照ください。
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サイプレスのおすすめの使い方
イライラをすっきり手放すバスオイル
感情が不安定で怒りっぽくなってしまうときにおすすめの組み合わせです。
心もすっきりバスオイル(全身浴1回分)
材料
- サイプレス 2滴
- ラベンダー 2滴
- フランキンセンス 1滴
- キャリアオイル 5ml
使い方
キャリアオイルに精油を落とし撹拌して希釈します。
浴槽に入れ、よくかき混ぜて入浴します。
すらりとむくみしらずのボディに
サイプレスは、血液やリンパの流れをよくし体内の水分を調整する作用があることから、スリミングを目的としたトリートメントオイルに最適です。
同じく体を温め解毒を促すジュニパーベリーとグレープフルーツを組み合わせてみましょう。
トリートメントオイルの作り方
材料(1回分)
- サイプレス 1滴
- ジュニパーベリ― 1滴
- グレープフルーツ 1滴
- キャリアオイル 15ml
作り方
キャリアオイルに精油を加えよく混ぜたら完成です。
Point
グレープフルーツには光毒性があります。
トリートメント後に日光に当たらないようにしましょう。
月のリズムを整えるトリートメントオイル
生理不順はストレスが起因していることも多いため、ストレスをやわらげる精油の芳香浴はおすすめ。
また、ホルモンバランスを整える作用を持つ精油でトリートメントオイルを下腹部に塗布する方法もあります。
月のめぐりを整えるトリートメントオイル
材料
- サイプレス 1滴
- ゼラニウム 1滴
- イランイラン 2滴
- キャリアオイル 20ml
- 遮光性ガラス容器 (保存用)
- 日付ラベル
作り方
- 遮光性ガラス容器に精油とキャリアオイルを入れよく振ります。
- 作成日を書いた日付ラベルを貼って出来上がり。
使い方
トリートメントオイルを手に取り、下腹部や腰を優しくマッサージします。
※作成したオイルは2週間以内を目安に使い切りましょう。
芳香浴や沐浴法で使ってもOKです。
サイプレスをブレンドするコツ
花、ハーブ、柑橘系と相性がよいです。
強く主張するローマンカモミールとブレンドしても心地よくなじんでよい香りに。
冷静さを取り戻したいときは、レモンとの組み合わせがお勧めです。
夏に樹木系の香りを気持ちよく使いたい!
夏はクリーンで清涼感のある柑橘系やハーブ系とのブレンドがおすすめです。
冬に甘い香りを楽しみたい!
サイプレスはベンゾインとも相性がよいです。
上記にマンダリンやスイートオレンジなど甘い柑橘をブレンドした芳香浴で甘さとぬくもりのある香りを楽しみましょう。
男性にも心地よいグリーンノートの香り
アロマを使いたい!
けれど、家族のいる部屋では香りに気を使いますよね。
サイプレスは男性にもお勧めしたい精油の一つで、そんな時のブレンドにも重宝します。
ストレスを和らげるラベンダーやベルガモット、心を深く落ち着かせてくれるフランキンセンスとの組み合わせは甘すぎず優しい香りに。
スパイシーなジュニパーベリーや休息スイッチを押してくれるプチグレンを少し加えても、香りに深みが増し、機能性も高めることができます。
サイプレスに期待される作用
鬱滞除去作用
強肝作用
強壮作用
解熱作用
健康回復作用
抗炎症作用
抗菌作用
収斂作用
消化促進作用
制汗作用
鎮痙作用
鎮静作用
鎮咳作用
通経作用
デオドラント作用
瘢痕形成作用
利尿作用
他
薬理作用について詳しくは下記ページにて解説しています。
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- 原液を皮膚につけないようにしましょう。
- 精油を飲用しないようにしましょう。
- 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
- 火気に注意しましょう。
- 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
- 定期的に使用状況をチェックしましょう。
また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。
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サイプレスの使用にあたり気をつけること
月経周期を整える作用があるため妊娠中の使用は控えましょう。
高濃度で使用すると皮膚刺激があるため、敏感肌の人は気をつけましょう。
針葉樹に含まれる成分は劣化が早いため、なるべく新鮮なものを購入するようにしましょう。
おわりに 豊かな木の香りサイプレス
今回はサイプレスについて解説しました。
女性ホルモンのバランスを整える作用からダイエット、むくみ対策まで、女性に嬉しい作用がたくさん。
さらに、男性にもお勧めの香りで、家族で過ごす部屋でも使いやすい点も魅力です。
日々のストレスケアから空気清浄、スキンケアまで、上手に活かしてみてください。
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精油は体と心に働きかける力をもっています。
しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。
香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。
心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。