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ミルラ(没薬)の香りと働き・おすすめの使い方

20/09/2020

【勇気を与える】
ミルラ(没薬)の香りと効能・おすすめの使い方

 

ミルラは長く人々に活用されてきた植物です。

 

ミルラってアロマの歴史で出てくる印象です。

 

キリスト誕生のエピソードかしら?

その香りに触れながら読んでいくと一層楽しいわよね。

では、今回は歴史にも触れつつ、ミルラが持つ作用をご紹介していきましょう。

 

こんな疑問にアロマセラピストがお答えします

  • ミルラ?没薬ってどんなもの?
  • ミルラの歴史エピソードを知りたい。
  • ミルラを焚いてみたい!どうしたらいい?
  • ミルラってどんな香り?
  • ミルラに期待できる効果・効能は?
  • ミルラをブレンドするコツは?
  • ミルラを使用するときの注意点が知りたい。

 

下記の目次よりお好きな項目からご覧いただくこともできます。

 

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ミルラってどんな植物?

 

ミルラ(樹脂)

ミルラの精油は樹脂から抽出します。

 

アラビア半島西部とソマリランドのみを産地とする、香りのある葉と白い花、とげを持つ低木です。

 

フランキンセンスとともに新約聖書に登場し、古来病から人々を救う医者の象徴とされてきました。

 

灰色をした樹皮に傷をつけると黄色ないし白色の柔らかい樹脂がにじみだし、これが乾くとし赤褐色の塊になります。

 

今は人工的に傷をつけて樹脂を採取します。

樹皮が乾燥し、自然にしみだして固まった樹脂は最高級とされ、「スタクテス」と呼ばれ珍重されます。

 

ミルラは「没薬(もつやく)」とも呼ばれ、その琥珀色の樹脂は古代エジプトではミイラづくりの防腐剤として用いられていました。

 

アラブ世界の人々は、没薬を肌のひび割れ、傷、しわといった皮膚のいろいろな症状に対して使いました。

 

また、収斂(しゅうれん)作用と抗炎症作用があるため、歯科領域や口腔粘膜のトラブルにも。

 

日本でも薬用歯磨きに有効性成分として取り入れられています。

 

 

 

ミルラ(没薬)にまつわるエピソード

 

ミルラ(没薬)は、古代のさまざまな文明で香料、薫香、医薬品として使用されました。

 

広く利用されていたことからその人気がうかがえます。

 

ここでは、芳香植物の歴史においてミルラに関することを簡単にまとめてみました。

 

なお、水蒸気蒸留法が確立し精油を得られるようになるのは10世紀のころ。

 

古代は樹脂のまま、もしくは油に漬け込んだ香油などの形で利用されていたようです。

 

 

古代エジプト フェイシャルパックにも

 

古代エジプトではミイラづくりから医療、化粧品にミルラが利用されました。

 

  • 当時「プン」と呼ばれていた没薬を、太陽崇拝の儀式の一部として毎日正午に焚いていた。
  • 人々を寝付かせ不安を鎮めるための香料「キフィ」に配合され、日没後に焚かれた。
  • ミルラ、コリアンダー、はちみつをあわせて作った軟膏(なんこう)で疱疹を治療。
  • 特上(!?)のミイラづくりに使用。また、王の遺体とともに防腐・保存の目的で埋葬された。
  • 化粧品(特にフェイシャルパック)に使われた。

 

聖書に登場 高価なものだったミルラ

 

ミサの際の振り香炉に使われることもあるそうです。

 

 

【旧約聖書エステル記】

  • 女性の斎戒に用いられた。
  • イシマエルの隊商たちはラクダにガム、香油、ミルラをラクダにのせてエジプトへ運んでいた。

斎戒(さいかい)とは

神聖な仕事に従う者が、飲食や行動を慎み心身を清めること。

物忌みや潔斎とも。

 

【マタイ伝2:11】

これが現在のクリスマスプレゼントの起源になっています。

黄金は<王位の象徴>、乳香は<祈りの象徴>、没薬は<死の象徴>を意味しているとか。

 

【マルコ伝15:23】

  • 十字架につけられたイエスにもミルラをワインに混ぜたものが手渡された。

 

【ヨハネ伝 19章38~40節】

  • 十字架にかけられ息を引き取ったイエスの埋葬の際に没薬が使われている

 

ミルラは消毒・抗炎症作用をもち、出血を止めるのに役立ちます。

ギリシャの兵士たちは小袋に没薬の軟膏を入れて戦いに赴き、戦傷の手当てをしたとか。

また、ミルラは「奇跡の香料」とも呼ばれ、不死鳥(フェニックス)はミルラとシナモンを燃やした灰の中から蘇ったという伝説もあるそうです。

 

 

ミルラに関しては下記リンク先もご参考にどうぞ。

 

冒頭にミルラ、後半はフランキンセンス(シヴァの女王)が出てきます。

 

十字架にかけられ息を引き取ったイエスの埋葬の際に没薬が使われているようです。

 

古代エジプト 死者が永遠の安らかな眠りにつくためにフランキンセンスとミルラが使われていました。

 

古代エジプト 王の遺体の処理に使われた香料(シナモン、没薬、胡椒)など。

 

古代の薫香、ミイラづくり、キフィから香水まで。使用された芳香植物が書かれています。

 

 

参考 ミルラ(没薬)を焚いて楽しむ

 

現在は精油を抽出できますが、古代ではその技術がなかったため、樹脂そのもの、もしくはキフィに加工して焚いていたようです。

 

参考までに、ミルラ(樹脂)を焚いて楽しむ方法をご案内します。

 

ミルラ(樹脂)を焚いて楽しむ方法

香炉に焼香炭をひとかけらおいて火をつけ、炎が出なくなったら(炭火になったら)上から香(ミルラ樹脂)をふりかけます。

気をつけること

通常の線香や円錐タイプのお香より煙が上がりやすいことがあります。

室内の場合は火災警報機、換気等にご注意ください。

また、高温となり危険ですので、焼香専用の高炉をご使用ください。

 

 

 

 

他の香りでは代用できない
スパイシーで甘いミルラの香り

 

ミルラをブレンドするとオリエンタル系の香りを作れます。

 

スモーキーそしてスパイシーなバルサム(樹脂)調に、苦味と辛味が薬を連想させます。

 

甘苦く芳醇な香りには、わずかに麝香(ムスク)のニュアンスが感じられます。

 

ピリッとした苦味のような香りに樹脂特有の深みがあります。

 

 

麝香(ムスク)について詳細は下記ページをご参照ください。

 

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古代エジプトから伝わる
勇気を与えてくれる香り ミルラ

 

ミルラは「勇気を与える香り」とされています。

 

ミルラの赤褐色の樹脂を蒸留することで精油を得ることができます。

 

神経を鎮静させ、意識をはっきりさせる力を持つなど、ミルラ独特の精神への作用を期待して心理面のケアに使われます。

 

また、殺菌・消臭作用のほか、抗酸化作用収斂(しゅうれん)作用抗炎症鎮掻痒(ちんそうよう)作用などがあり、口腔ケアやスキンケアに用いられます。

 

傷を癒す作用肌の老化を防ぐ働きから、乾燥肌やひび割れのためのクリームに加えられます。

 

粘性が高く固まりやすい性質がありますので、アロマディフューザーで使用する場合は注意しましょう。

 

 

学名:Commiphora myrrh(コンミフォラ ミルラ)

Commiphora molmol(コンミフォラ モルモル)

Commiphora abyssinica(コンミフォラ アビッシニカ)

※属名はギリシャ語kommi(ゴム)phoreo(産する)から、myrrhはアラビア語mur(苦い)に由来

和名:没薬(もつやく)

科名:カンラン科

主な産地:エジプト、エチオピア、ソマリア、モロッコ など

抽出部位:樹脂

抽出方法:水蒸気蒸留法

精油の色:黄色

支配星:太陽または木星

主な成分(目安):テルペン系炭化水素(フラノユーデスマ-1,3-ジエン、クルゼレン など)

※精油の含有成分や割合は、産地や気候などにより異なります。

 

ミルラの芳香成分(円グラフ)

セスキテルペン系炭化水素類が多く含まれ、かゆみや炎症のある肌のケアに適しています。

 

 

【心への作用】
精神的な活力を高めて気力の衰えを回復

 

ミルラは行動するエネルギーを呼びさましたいときにも適しています。

 

精神の覚醒度を高め、気分を明るく温め、精神的な活力を与えてくれます。

 

理想と現実、思考と行動の葛藤を統合へ導く働きがあります。

 

考えすぎの心を解放し、高揚した気持ちを壊すことなく地に足をつけて安定させ、行動する意欲をもたらします。

 

寝つきが悪いときには芳香浴で使いましょう。

 

こんな時におすすめ

  • 頭でっかちになってしまい地に足がついていないとき
  • 目的のために行動するエネルギーを呼びさましたいとき
  • 悲しみ、憂鬱、喪失感、無気力
  • 気力が衰えたように感じる
  • 考えすぎ

 

深い落ち着きをもたらすブレンド

内面を見つめることを助け、思考と行動を結び付けてくれるブレンドです。

 

利用方法:芳香浴法、沐浴法、トリートメント法 など

 

 

【体への作用】
呼吸器系の不調や免疫力UPに役立つミルラ

 

ミルラは呼吸器系の不調に役立ちます。

 

呼吸器系の痛みや炎症を和らげ、気管支炎、風邪、のどの痛み、咳といった不調を改善するよう働きかけます。

 

また、免疫系の働きを向上させる働きが風邪の初期症状にアプローチ、回復を後押しします。

 

のどの不快症状や初期の風邪にはにユーカリ(グロブルス、ラジアータ)ティートリーとブレンドし、芳香浴や吸入法で用いると良いでしょう。

 

ミルラが免疫力に与える影響に関する実験結果がありますので、下記リンク先も併せてご参照ください。

 

 

 

また、食欲不振や胃酸過多、下痢といった胃腸の不調には腹部へのトリートメントがおすすめ。

 

時計回りにソフトな圧で優しく腹部をマッサージしましょう。

 

トリートメントオイルの作り方(出来上がり量 10ml)

準備するもの

  • ミルラ 1滴
  • お好きな精油 1滴
  • 植物油 10ml
  • 耐熱性ガラスビーカー
  • 遮光性保存容器
  • ラベル

作り方

  1. ビーカーに植物油(10ml)と精油(合計2滴)を加え、ガラス棒でよく混ぜ合わせます。
  2. 遮光性保存容器に移します。
  3. 作成日や選んだ精油を記したラベルを貼って出来上がりです。

 

利用方法:芳香浴法、吸入法、湿布法、うがい、手作りコスメ など

 

 

免疫力をサポートするユーカリ(グロブルス、ラジアータ)ティートリーの作用について詳しくは下記ページでご紹介しています。

 

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【肌への作用】
傷を癒し肌の老化を防ぐ働きをもつミルラ

 

ミルラは乾燥に悩む手のケアに適しています。

 

肌のはれやただれ、床ずれ、ひび割れ、湿疹、水虫などに症状を緩和するよう働きかけます。

 

特に、じくじくした浸出液が出ているような傷や治りが遅い傷、ひび割れに対して、患部の湿り気を乾燥させて回復を促します。

 

肌を保護する効果が高いため、あかぎれを改善するハンドクリームやかかとのケアにも適しています。

 

ラベンダーゼラニウムとブレンドし、トリートメントオイルやクリームにして軽くマッサージすると、固くなった肌をしっとりとさせ、保護します。

 

抗酸化作用があり、肌の老化を防ぐ働きも期待できます。

 

なお、ミルラ、ネロリイランイラン・ザ・サードの3種の精油には、ヒト癌由来細胞株に対してアポトーシス誘導作用があるFOHが含まれていることから、皮膚癌の予防・治療に適用できる可能性が示唆されています。

 

上記の実験結果は下記リンク先をご参照ください。

 

 

適用:水虫、湿疹、しわ、あかぎれ、乾燥肌、衰えが気になる肌 など

利用方法:トリートメント、手作りコスメ(蜜蝋クリーム) など

 

 

ラベンダーゼラニウムに期待できる効果は下記ページで解説しています。

 

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【ブレンドのコツ】
アーシー・オリエンタル系の香りを作りたいときに。

 

アーシーは土や泥くささを意味する言葉です。

 

香りの系統:樹脂系

香りのノート:ベースノート

香りの強弱:中~強

相性の良い精油:ベンゾインクローブ、サンダルウッド、フランキンセンスパチュリラベンダーベルガモットプチグレンローズなど

 

ハーブ、柑橘系、花、スパイス樹脂系の精油とブレンドすると土のような印象が加わり、アーシー/オリエンタル系の香りを作りだすことができます。

 

スモーキーな樹脂系の香りは独特で、香水を作ると調和がとれた奥深い、ユニークな香りに仕上がります。

 

ミルラは香りの保留剤になります。

 

 

ミルラに期待される作用

 

強壮作用

去痰(きょたん)作用

駆風(くふう)作用

健胃(けんい)作用

抗ウィルス作用

催淫(さいいん)作用

殺菌作用

殺真菌作用

殺微生物作用

子宮強壮作用

刺激作用

収斂(しゅうれん)作用

抗炎症作用

抗菌作用

通経作用

デオドラント作用

発汗作用

瘢痕形成(はんこんけいせい)作用

利尿(りにょう)作用

 

 

薬理作用について詳しくは下記ページにて解説しています。

 

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【必読】アロマテラピーのルール

 

アロマテラピーを行うにあたっては下記を守りましょう。

 

アロマテラピーのルール

  • 原液を皮膚につけないようにしましょう。
  • 精油を飲用しないようにしましょう。
  • 精油が目など粘膜部分に触れないようにしましょう。
  • 火気に注意しましょう。
  • 子どもやペットの手の届かない場所に保管しましょう。
  • 定期的に使用状況をチェックしましょう。

 

また、お子様や高齢者、妊娠中の方には考慮していただきたい項目がありますので、こちらをあわせてご一読ください。

 

アロマテラピーのルール(精油を安全に活用するために)

アロマテラピーのルール~精油を安全に活用ために~ 精油は、植物から抽出した天然の物質だからと言って100%安全だというわけではありません。 ...

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ミルラの使用にあたり気をつけること

 

妊娠中・授乳中は使用を避けましょう。

 

また、少量月経を改善するよう働くため、月経過多の人には適さない場合があります。

 

香りが強いので少量(0.5%以下)と低濃度で使用しましょう。

 

 

おわりに
特有の香りと作用が魅力のミルラ

 

ミルラは特有の香りと作用が魅力です。

 

ミルラは古代文明でも広く使われてきた長い歴史のある香りです。

 

心に対しては、活力を高めて気力の衰えを回復するよう働きかけます。

 

体に対しては、呼吸器系、消化器系の不調をやわらげる作用や免疫力を高める力が期待できます。

 

乾燥肌、浸出液のある肌に適しており、高い抗酸化力は老化防止にも役立ちます。

 

 

 

 

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乳香については下記ページでご紹介しています。

 

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精油は体と心に働きかける力をもっています。

しかしながら、「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」ではありません。

香りを楽しみながら、健康維持・増進、美容を目的にアロマテラピーを取り入れてみてください。

心身の状態が悪い時には速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。

 

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